クライアントと作るメッセージ性のあるロゴ制作のワークフロー(前編)

Jul 2 2015

最近、ロゴマークとともにガイドラインを制作しました。 昔、CI・VIの会社にいたこともあってか、ロゴやタイポグラフィーが好きです。 シンプルな中にサービスの理念やメッセージをギュッとつめた形にいつも惹かれます。

これまでロゴ制作は、制作の手間から制作費がかかかり、手が届きづらいものでしたが、クラウドソーシングの発展で、予算が圧縮され、納期までのスピードが昔より飛躍的に改善し、必要としてる多くの人により届きやすくなったと思います。

予算・期間面で圧倒的にクラウドソーシングが有利な中、ご依頼頂けてありがたいなと思いました。
クラウドではなかなかできない、ガイドライン制作やクライアントと二人三脚になるようなプロセスを重視してロゴがメッセージを伝えやすい制作をするように心がけました。

特にガイドラインの制作は久々だったので、昔に比べ、デバイスが増え且つデザイナーでない人もロゴに触れる機会が増えた中、規則をどこまで設定するかが悩みどころでした。

ので、この経験を書き留めておきたいと思いまして、他のロゴ制作の時を思い出しながら、仮想ではありますが、実務に近いワークフローのブログを書きました。

前編と後編に分けて、記述します。前編は、ロゴの一般論と制作前に意識するポイントのお話です。

ロゴとは

企業やサービスの理念・目指す姿をシンボルマーク・ロゴタイプ・スローガン(タグライン・ステートメントともいいます)の3要素を使うことでシンプルにわかりやすく視覚化したものです。

まさに企業・サービスの顔にあたり、ユーザとの接点を保つ大切な目印になります。そのため「ロゴをみればどこの企業か思い浮かぶ」ことが一つの目標で、Web・紙・TV・新聞など多くのメディアに展開されます。

※今回、スローガンについての詳細は、主題がブレてしまうので詳細は控えます。

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ロゴの種類

ロゴの種類はおもに2つ。「シンボルマーク+ロゴタイプ」「ロゴタイプ」に分かれます。
世に出てる素敵なロゴをピックアップして、Webサイトのキャプチャーとともにご紹介します。

具象的なもの

ロゴの意味がわかりやすく、親しみやすさを感じやすく、メッセージを伝えやすいメリットがあります。


http://konigs-krone.co.jp/shop/

例としてご紹介するのはケーニヒスクローネ。デパ地下によく入ってるケーキ屋のロゴです。「ケーキ」と「熊」がモチーフになって可愛いですし、美味しそうです。また、デパ地下はあらゆるお店が集まっているので、「ケーキ屋」とわかりやすいのは大きなメリットになります。

また、エルメスは馬具工房として創業した名残がマークに残すことで、伝統を感じさせます。
Webサービスでよく使われてるのもこのタイプです。アイコンとロゴタイプを切り離しやすいので、相性が良いのだと思います。

イニシャルをアレンジしたもの

社名を連想させやすい効果があるので、企業で使われることが多く、また堅実で信頼性を出しやすいため、 B to Bの企業や大学などで採用例が多いです。


http://www.hulic.co.jp/

ビルと保険事業のヒューリックを例としてご紹介します。頭文字の「H」をアレンジしたロゴです。

抽象的なロゴ

企業の理念やイメージを表現するのに適してきます。 情熱的な理念を持つ企業なら、勢いのようなものを表現するなどです。

昔のGMOペパボさんのロゴです。

ロゴは、独自で制作した「ペパフォント」を使用。水色の文字で書かれた社名の横に、吹き出し「ペパポン」をデザインした。ペパボンには「ひらめきやコミュニケーションが発生する瞬間」をイメージし、「みんながポンっとなる瞬間に立ち会えるペパボでありたい」という思いを込めたという。
引用 : ITmedia 2008年01月10日
ペパボ5周年でロゴ一新 「もっとおもしろくできる」を経営理念に

マークの造形やゆるやかで会社の雰囲気にあってる印象を受けます。

ロゴタイプのみ

社名やサービス名の文字をデザインしてるため、社名やブランド名がそのままロゴになるため極めてシンプルです。

社名やサービス名の文字をデザインしてるため、社名やブランド名がそのままロゴになるため極めてシンプルです。

そのため、商品を展開したい場合、関連企業を一体化して表現したい時に便利です。
また、背景に強い色を引きたいときなどには、黒一色などで使用ができるので、展開力があります。

SONY・丸紅など世界展開をしてる企業や銀行など大きく堅実な企業に採用される場合が多く、 Webサービスでは、DeNA・Pinterestもこの分類になります。


http://dena.com/jp/

DeNAさんのロゴは、もともと黒ベースなので、背景にどんな色が来ても映え、システムとして強い展開力があると思います。
また、Dのロゴもアイコンとして使えるようにシステム化されてるようです。ソーシャルボタンとして使っても映える印象です。

上記をかけあわせる


https://picolog.jp/

Webサービスで、最近素敵だと思ったPICOLOGさんのロゴ。
Pと筆記用具が動く様子を掛け合わせています。
具象とイニシャルを掛け合わせてます。
組み合わせもアイデア次第です。

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良いロゴとは…?

ロゴは、前述したとおり、「企業やサービスの理念・目指す姿をシンボルマーク・ロゴタイプ・スローガン(タグライン・ステートメントともいいます)の3要素を使うことでシンプルにわかりやすく視覚化したもの」なので、 ストーリーが背景にあり、色々な媒体で展開されることを想定して個性があり、シンプルで記憶に残りやすい形であるのが良いロゴだと思います。

たとえばamazonなどは、「a」から「z」に伸びた矢印でいたる所に商品を届ける、というメッセージがあります。
言われてみれば、なるほどーと思いますし、amazonのこれまでの展開を考えるとブレのないロゴです。

企業やサービスを伝えやすく視覚化することで、内外に強いメッセージを発することができれば、ロゴとして大成功になります。

ロゴを作る上で事前に収集・ヒアリングするポイント

実際に良いロゴを作る作業に着手する前にどんな情報をまとめたら良いか、ポイントを整理しました。
企業やサービスの周辺情報はくまなく集めておいたり、伝えた方が良いかと思います。
あまり具体的に決まってない場合は、ヒアリングやディスカッションに力を入れた方が良いロゴになります。

1.ストーリー作成に必要な会社やサービスの理念など

企業理念、事業展開などを渡してもらったり、ヒアリングします。 特に一番表現したいこと、を聞いておくと良いかと思います。
競合などもあれば合わせて聞いておけると良いです。

2.名前

これなしにロゴを作れない部分なので、情報としていただくようにします。 命名までの過程や検討外となった案やその理由なども聞けると制作のヒントになります。


-------(以下からは、デザイナー側でゼロベースでも提案できる内容になります)

3.イメージする雰囲気

どんなロゴにしたいか、世に出てるロゴだったり、こんなイメージにしたいなど希望を伝えてもらいます。

4.イメージする色

これなしにロゴを作れない部分なので、情報としていただくようにします。 命名までの過程や検討外となった案やその理由なども聞けると制作のヒントになります。

5.フォントの種類

サンセリフ・ゴシックだと現代的でデジタル関連とも相性がよく、 セリフ・明朝だと伝統や上品さを伝えやすくなります。

6.英文・和文(入れたい要素)

名前のほかに入れたい要素の確認です。
たとえば、英文タイプと和文を別に作りたいなどになります。
工数に関わるので、どちらも用意が必要かなど確認しておきます。

7.商標登録

仮に商標登録が必要になると、フォントメーカーによっては商標登録にはフォントを使えない場合があるので、工数の問題からも事前の情報収集が必要になります。

8.デバイス展開

どの媒体で展開されるかをあらかじめ聞いておくと後々の作り直しなどが発生しなくなります。
たとえば、Webでのみの展開だとカラーを使ってやグラデーションで作ることができるなどがあります。
逆に紙媒体やソーシャルアイコンなどで使いたいなどになると、やはりシンプルで単色でも表現できるようなロゴの方が良いです。


後編につづく